お金がない友人にお金を返してもらうためにご飯を奢った話
先日久方ぶりに大学時代の友人と会った
お金を返してもらうためだった
一緒に行った卒業旅行のお金を私が立て替えていたから
この歳になるまでずっと忘れていた
随分長い時間がかかった
思い出してから連絡を入れるまで
連絡を入れてからお金の話をするまで
お金の話をしてから連絡をもらうまで
ずっとメールの返信がなかった
何度も連絡を入れて
会おうといって
ようやく会う約束を取り決めることができた
夕方、人ごみの中
新宿駅の東口で会って
お金を返してもらって
そのまま別れればよかった
でも私は色々と話をしたくて
つい友人をご飯に誘ってしまった
友人は「お金がないから」といった
私は「奢るよ」といった
お金も返してもらえるし、奢るくらいはいいかと思っていた
今にして思えば
私はそんなことを言うべきじゃなかった
軽率だった、そう思う
友人は「そんなの悪いよ」
そう言いながら足は帰ろうとしていなかった
私たちは牛タンを食べることになり
新宿通りを奥へ奥へと歩いていった