お金がない友人にお金を返してもらうためにご飯を奢った話-続き-
ねぎしに入ることにした
太助と少し迷ったけれど、
ねぎしは1000円未満で食べられるメニューがあるから
私が白タン厚切り定食を頼むと
友人も「同じものを」といった
私はどうして?と思った
白タン厚切り定食は、ねぎしの中では高めの価格帯だ
お金がないのに
私が奢ることになるのに
なぜこの子は高いメニューを選ぶのだろう
私には到底信じられなかった
それでも
「白タンおいしいよね。私はねぎしでは基本白タンしか食べないの」
そう言って微笑むと、友人は下を向いて笑った
そうして鞄の中から茶封筒を取り出し、
机越しにそっと差し出した
私は封筒を受け取り、中を覗くと
1万円札が10枚入っていた
私が数年前に貸した金額とぴたり一致していた
「ありがとう。ちゃんと返してくれて」
利子分はなかった
なんてケチな子なんだろう、そう思った